2015年2月7日土曜日

古布

いつものように数段の階段を下りて、

ドアを開けたとたんに広がる別世界。

ARTEPORVERAは岡山のブランドだが、

東京の中目黒の同じ場所で展示会がある。

引き寄せられるように最初に触ったその生地を、

グッと握りながら、

「何ですか!?、、この生地?」

普段から相当の数の生地を見たり触ったりしているが、

それでもなかなか感じたことのないその感触は、

「ヨーロッパの古い麻のシーツです。」

という鹿野さんのサラッとした一言で合点がいく。

現在も高価な生地でこのような素材は、あるにはあるが、

ボコボコとした整理されていない素朴さは、

やはり古布(こふ)には勝てないのではなかろうか。。

ビンテージシーツのパンツです。






















ARTEPORVERA

ビンテージシーツワークパンツ

生成 ¥21,000(税抜)

たまたま、そこそこの量で、

未使用のシーツが出てきたという。

大量生産は当然できないが、

少量なら生産できる。

僕らはうれしいが、メーカーとしては、

全く儲からない、モノ好きのサガとしか言いようがない。

ひとのことは言えないが、、、。






















「張り」、「弾力」、そして「優しさ」、「素朴さ」。

大量生産で忘れ去られようとしている、

天然素材の本来の姿がうかがえる。

















同じものがたくさん出てくる場合、

当時のメーカーが、ホテルなどの業務用として、

大量に用意していた可能性が高い。

このマークが全てに入っていたそうだ。

すべてこの位置にくるように裁断している。






















ワークパンツらしからぬ、

白蝶貝のきれいなボタンにセンスを感じます。






















こちらは、シーツで作ったパンツを染めたもの。

鉄紺のようなダークネイビーは、

張りや弾力はそのままに、やや艶のある上品さ。






















いったい、どう変化していくのか?

履いた人にしかわからない、未知なる世界。

鹿野さんはサラッと言っていたが、

作ろうと思って、作れるようなものではないのだ。
















ある春の朝。

靴は白がいいか、黒がいいか迷った末、

春だから白にしてみる。






















心も、、体までも軽くなった気分。

まさか、、

と思って部屋に戻って体重計をがさがさ取りだす。






















気のせいか。。


ある春の麻。

その昔、人々の寝具として活躍していた古布が、

パンツになってちょっとした優しさと素朴さを

味あわせてくれる。

体が軽くなったのは気のせいでも、

気分が軽くなったのは、気のせいではないはずだ。